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Zakka / Gallery & Shop / iTA-Choco Systems Official Shop
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瓦斯灯コンサート 〜映糸十周年〜
3/10、先日ソロライブをしていただいたMujika Easelのバンド、映糸の十周年記念のライブに行ったのでその日の事を書きました。店のBlog用に書いていたわけではないので長文ですが、よろしければ。

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ライブ会場の雲州堂に着くと告知の時間とズレがある様だった。
とても冷える日だったので、天神橋筋商店街の端っこで熱燗を飲んで時間になるまで過ごしてから会場に向かう。雲集堂は初めて訪れた。昔の建物を使っているので太い木の梁や柱が目立ち空間を良い意味で演出している。そしてステージがしっかり高い。とても良いイベントスペースだと思う。

会場に入り、マッコリのお湯割りを飲んでふわふわしながら会場内を見渡す。顔は知ってる人、過去に一度だけ話した人、そんな人達がわくわくした顔つきで時を待ったり再会を喜んでいる様だった。一人、目が合った男性が居た。顔は知っているけど名前は覚えていない。誰だっけ?向こうもそんな表情だった。かろうじて名前を覚えていた人に声をかけてみた。でも皆久々の映糸の空間に集った同窓会みたいに忙しそうに会話していたので途中から気にしないで自分の世界に戻る事にした。




Mujika Easelの声が突然、でも違和感も無く自然に溶け込む様に響く。
ああ、始まる。と思うと同時に照明が落ちた。
声に重なり小堀さんがステージに上がり、グラスの中の氷を鳴らす。
静かに久々の音を呼び出す合図の様だった。
そして全員がステージに揃う。

まず目についたのは辰巳さんが持つアップライトベース。
初めてP-shirtsで彼女を見た時を思い出す。当時を思い出した人は多いかもしれない。ただ、懐かしさはあるけれど佇まいや雰囲気は随分違っていた。昔は見慣れないアップライトベースの存在感を支えに立っている様にも感じたけれど、今回は自分の芯で立っている様に見えた。

湿度ある空気感の音を聴いていると後頭部が気持ち良くなる皮膚感覚が起こる。これはCDではまだ経験が無いのできっと音の振動とかそういうものが皮膚で受け取ってるのかなと思っている。因みにどんな音でも起こるわけではない。
そうやって皮膚感覚でも楽しんで聴いていたら突然の大きな音や電子音で不快にも思えるほどぶつん!と中断される。「あ」と思ってももう戻って来ない。ヒーリングに来ているわけではないのでそれがどうこうというわけではないけれど、心地良いパターンに頼るわけでも無く、そういう寄り道も顕在しているということ。

目を瞑って聴く時間が長かった。トータルの音として広がり、空間に溶け、色となり光となり気体となって渦巻く動きを辿る事が出来る。濃紺と茶と黒の世界に時々瞬く光、光に重なり水色や橙の帯になり空間を蠢く。ゆっくりと空を漂う抽象画の龍の様。

抽象的な事ばかり書いてしまったのでもう少し具体的に書くならば。
森田さんのペダルスチールギターは湿度や空気感を作る包み込む様な音から効果音の様な鋭い音、個人的には夜の霧の街を歩く足音の様な音が印象的だった。他にも沢山の楽器を一人で扱い、ハーモニカやiPadなども駆使して差し色としての音も生み出していた。

小堀さんのギターは空気感や辰巳さんの声に寄り添う様な音だったり、独立して主張する音もあり、空間の中を自在に動く為の音や光をギターひとつで創りだしていた。何となくこの空間を繫いでいる様な、または安心感という存在で聴いていたかもしれない。

辰巳さんに関してはソロでは触れたくなる存在の音だけれど、映糸ではその渦巻く気体の中に入り込んでしまっている感覚。最近はピアノで聴いていたからか今回のエレピは少し物足りなく感じた。これは彼女の良さは、よりアナログで発揮されるという話だけれど。アップライトベースは他の楽器に比べると控えめな存在だったかもしれないが静かに空間の背景色として響き存在していた。声は、内なる声が聴こえたらこういうものかもしれない。激しいわけでもなく圧倒される声量というわけでもないのに強くしっかりと想いが乗った声。色彩と光彩を帯びたこの声が空間の中に漂う音をゆっくりと渦を巻いたり昇ったり拡散しながら動かしている様に感じた。

昔の映糸は自身の説明にもある様に凝縮された時間の中で蠢く生き物。
十周年の映糸は確かに映糸の音だけれど昔の物とはまた違って聴こえた。
10年も経てば子供も大人になると思うと違和感もないけれど。
危うさも感じる繊細さや棘はいくらか抜け落ち角も落ち、その代わりに大きな空間を作る自立した意志を感じる音だった。成熟した、そんな気がした。丸くなったからつまらないというわけではなく、自然に寄り道出来る子供の様な大人。

そして音以外で明らかに当時と違うのはMCがあったこと。
観客を楽しませようとする森田さん、時々スルーをしながら相手をする辰巳さんと小堀さん。映糸のイメージからするとトークは無い方がしっかり世界観を楽しめた気もするが、10年前から聴いていてAnN-shitsuやその後の個々の活動を追いかけていたファンにしてみると、それも純粋に楽しんでいる様だった。

あと、約2時間の演奏をしっかりと楽しめたというのはしっかりと堪能出来て満足。当時の映糸にしてもMujika Easelにしても、いつももう少し長く聴ければ...と思う事が多いのでゆっくり聴けたのは嬉しいこと。

今後の活動は未定との事。
よぼよぼになった頃にまたライブが出来たら良い、らしい。
一生の友人と確信している相手にかける様な言葉だなと感じた。







次はどんな音になっているのか楽しみにしたい。


本当にどうでもいい話としては休憩時間に私は友人達とカレーの話をしていた。カレーの論文で昇進するという架空のお話。すると第二部は「カレーの歌」から始まったものだから笑いをこらえながら聴く事になった。会場を出た私達はカレーを食べられる所を探してウロウロ歩いてから結局カレーうどんを食べてから帰宅。かあさんの作ったカレーではないけれど美味しかった。

ごちそうさまでした。

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